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音を出さない サウンドインスタレーション

会場である円形の砲台跡地は、コロッセウムを思わせる内壁に開けられた小さくなってやっと入れる大きさの8つの弾薬庫と、海側に砲台が突き出るように開けられたトンネル状の空間、合計9つの空間で構成される。
弾薬庫の中に無理やり入ってみると、全方位の世界がスクリーンに映った映像のように切り取られ、さらに狭いせいで周囲の音も開口部方向からに制限される。庫内は奥に深く、入れば入るほど先ほどまでいた空間を客観的に捉えられる、あるいは自分が世界から切り離されてしまうような感覚を覚える。

展示のために弾薬庫とトンネルの内壁に吸音パネルを設置、回り込む音を極力抑え、スクリーンを意識する構成を目指した。日の落ちた暗闇の時間帯のみ開催される展示会で、無限の解像度を持った音はどのような映像を脳内に映すのか。

それぞれ全て異なる方角に開口している庫内には固有のリスニングポイントを設置。狭い空間内で身体を置く場所を変えることで、イコライザーのような効果を得られ、アンプリファイされる音が異なる。

展示入り口側の弾薬庫は、停泊するフェリーのエンジン音や飛行機の低音が強調され、反対側は木々の音、風の音がよく聞こえた。

会期
2022年1月22日(土)~3月6日(日)
Material
Sound absorbing panel(SHIZUKA Panel)

CREDIT

  • 吸音パネル協力:株式会社 静科
  • 施工:スーパー・ファクトリー株式会社
  • 渋谷清道、鈴木隆行、岡崎彩加、緒方圭太、織原ゆき山田大輔、竹内なぎさ
  • 記録映像/写真:廣瀬健