Fixation 5
Art Collaboration Kyoto, 国立京都国際会館
- Object
- 2022
はりつけられた一瞬が自由に再生するサウンドピース
時間の進行はときに暴力的である。音には時間が必要だが時間の進行にとらわれる必要はない。
はりつけられた一瞬が自由に再生(play/reproduct)する。
鑑賞者が作品を横切る5歩(2m)によって、この作品は再生される。キャンバスに這うケーブル60本には全て音が通っており、60chのスピーカーが仕込まれている。それぞれのスピーカーからは異なるピッチのロングトーン(作者のハミング)が1音ずつ再生されているのみで、メロディを持たない。
これまでマルチチャンネル音響システムを用いて作品を発表してきたが、音場の自由のために求めたシステムが、ある一定のレベルまで達するとハード,ソフト,予算,会場などの限界も見え、表現をより豊かにするためのシステムではなく、システムでできることを模索することが表現の代わりになり始めた。
自分にとって音場の自由とは何だったかを今一度考え直した時、すでに作品で発表できていた音場の自由は、音が物理的に移動できる空間の自由であったが、その自由のために鑑賞者は時間や身体的な拘束を伴っていた。対して、絵画などタイムベースドメディアではない作品に鑑賞と解釈の自由を感じるようになる。
自身の取り組みが自由なようで自由ではないように感じ始めた今、まず、作品をどれくらい自分の心地よい速度で解釈することが許されているか、また、どれくらい無視できるかを課題とし、タイムベースドメディアをもちいていない作品と、タイムベースドメディアをもちいた作品の間を探っていく。
- Media
- Audio cables, 60 channels of speakers, electronic substrate, glass fiber mesh, wires
- Size
- 2000mm(W)×400mm(H)
CREDIT
- Engineer : Mitsuhito Ando
- Drafting : Ken Hirose (TWOTONE)
- Production/Installation : SUPER FACTORY Inc.
- Photography : So Mitsuya
- Special Thanks : Reiri Kojima, Gallery 38