Erode

川の音に気づき直すための結界

世界遺産大峰山への参道、かつての女人結界門から木々の間を下っていくと、山上川へ突き当たる。あまりにも美しいこの川に、自分がつくった音を展示するなど考えることができなかった。この無限の解像度で流れる川の音に気づくための結界としての装置を設置することにした。山上川の上流から下流までの音を録音し、重ね、最も川の音がかき消されるノイズを作る。川が見える直前でそのノイズを再生することで、本当の川の音を一度かき消す場所をつくる。目には見えない音の結界を通り過ぎた直後、視界には川が現れ、本当の川の音に気づく。「侵食する」という意味の「Erode」は、コーディングにおいて目的に対するノイズ除去のプロセスを差すことに由来する。

*環境省によって管理されているこの土地に、ケーブルを這わせることは許されなかった。杉の木を電信柱のように使って山師さんにケーブルを上空で引き回すのが唯一の方法だった。さらにこのエリアの木々はそれぞれ所有者が違うことが発覚し、芸術祭チームおよび天川村のみなさんのご尽力のおかげで設営の日までに全ての所有者に許可をいただくことができ、この作品は実現した。屋外でこのような作品を発表するにあたって制作途中、果たしてこの作品は、そのような影の努力や環境への配慮に値するだろうかと考えさせられた。この機会をいただいたからには、遠慮して毒にも薬にもならないものを生み出すことはしたくない、資源そのものだけでは作ることのできない環境を生み出すことが作家の役割の一部なのかもしれないと思う。

Credit

  • Sound Engineer : Mitsuru Tajika
  • Assistant Engineer : Ryo Kozuki (artical), Toru Koda
  • Hardware Design : Takahiro Nagao (NEW DOMAIN), Kohei Kawashima (NEW DOMAIN), Keizan Saito (NEW DOMAIN)
  • System support : Tatsuya Motoki, Asuna Ito
  • Equipment Cooperation : artical
  • Special Thanks : Akio Hayashi, Toru Kamekawa, Takahiro Kaji, Hideki Masutani, Minako Yoshino
  • Photo #1~#3 by : Toru Koda
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