Observatory Station

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世界を想像するための装置

ロンドン市の文化施設バービカン・センターとのコミッション・ワークとして制作されたこの作品は、作家が2023年に異国の友人から託された音源がきっかけとなっています。

ある日を境に戦地となり跡形もなくなった故郷、何かを訴える民衆、山火事、原発の事故による帰還困難区域、パンデミック中の夜、思い出のバス停..。
穏やかな裏庭の朝、元気なマーケット、ビーチ、新しいビルの工事現場、スキー場、伝統的な祭りや祈り、噴水のまわりで遊ぶ子供たち、虫や動物。録音者は、私たちに何を伝えようとしていたのでしょうか?

今日情報社会に生きる我々は、時に情報を与えられすぎていることがあります。今作では音源の詳細は意図的に伏せられており、経験と思考から、あらゆる可能性を探ることを期待されています。この作品において重要なのは、誰かが我々のために残した音であるという事実を知ったうえで、私たち自身の力で彼らの世界を積極的に想像し、音を通して他者とコミュニケートすることです。

私たちは無意識のうちに、音からたくさんの情報を得ています。人の気配、対象物との距離、広さ、録音された機材、年代(古いものは1990年代のものもあります)。録音者がどんな人なのか想像することもできるでしょう。単純なノイズでも、よく聞くとさまざまな音から構成されていることがわかります。

 


 

システム

この作品には、国際的なフィールドレコーディングのコミュニティ”Cities and Memory“の協力により集められた音源と、パブリックドメインの音源および作家による録音が使用されています。
それらは必ず「位置情報」を含み、さらに「録音された時間」もしくは「音源の説明」を含みます。

この「時間」「位置」「言葉」という3つの要素は、私たち人間が世界を理解するために生み出した道具です。音というメディアは多くの情報を持ちますが、時に曖昧です。この3つの視点を持つことで、それぞれの音の違いや共通点を発見することができるかもしれません。

12個の独立したスピーカーからは、何に関連した音が再生されるかが定期的にアナウンスされます。例えば、各エリアの午前6時の音や、風、祈り、銃、カエルの群れ、校庭の音。緯度軽度の違いは、どのような違いや共通点を生み出すでしょうか?異なる12の雨の音から、それぞれどんな景色を想像しますか?
また展示期間中は、マイクの入った白い箱が場所を変えて現れます。ここバービカンセンターの音もアーカイブされ、時にはリアルタイムで再生されます。

最後に、この作品では、すべてのスピーカーから音が出ていなかったり、同じ音源が何度も再生される場合があります。それはつまり、まだ私たち人間が到達していなかったり、録音が少ないエリアがあるということです。(もちろんこの作品の音源が全てではありません。)環境の変化や移動手段の変化によって、その空白は少しずつ埋まっていくことでしょう。それは10年後かもしれないし、1000年後かもしれません。その時のために、この作品は空白をあえて残しています。まだ音のないエリアについても思いを巡らせてみてください。

この作品が私たちより長生きし、未来、音で埋め尽くされていくことを願って。
世界中のコントリビューターに感謝申し上げます。

 


 

Cities and Memoryについて
本プロジェクトに協力いただいたCities and Memoryは、世界130か国以上、7,000を超える音源と2,000人以上のアーティストによって構成される、世界最大規模のサウンドプロジェクトのひとつです。2015年にスチュアート・フォークスによって設立され、フィールドレコーディングを再構築することで、新たな「聴き方」を提案しています。移民、気候変動、抗議運動などのテーマを通じて、音と記憶を探究する活動を行っています。
リスナーは、現実の音風景と再構築されたサウンドスケープをインタラクティブな音の地図を通して体験することができます。これまでに、C40 Citiesやオックスフォード大学などと連携し、『ガーディアン』『BBC』『ニューヨーク・タイムズ』など世界的なメディアにも取り上げられています。
https://citiesandmemory.com/

 


 

Contribute your sound
本作では、展示期間中にCities and Memoryを通じて音源のコントリビューションも受け付けています。詳細は下記のURLよりご確認ください。
https://citiesandmemory.com/observatory-station/

CREDIT

  • Contributors
  • Alex Roth
  • Alex Wegman
  • Aliesha King
  • Amanda Butterworth
  • Anders
  • Anders Vinjar
  • Andre Louis
  • Andrea Lynn
  • Andrew Ramsey
  • Andy Popperwell
  • Angela Tisner
  • Antek Rutczynski
  • Ayaka Toki
  • Ayane Sato
  • Ben Gale
  • Benj Meamo III
  • Bibian Marcela Riveros Bustamante
  • Bill McKenna
  • Brandon Ligon
  • CHRISTINA ANTONIADOU_Soundquest
  • Cities and Memory
  • Claire Matthews
  • Colin Hunter
  • Constantine Katsiris
  • Daniel Trussler
  • Daniel W J Mackenzie
  • David Mintom
  • Dee Fry Servals
  • Diego Herledy Mendivelso Albarracin
  • Dorota Blaszczak
  • Dylan Spencer-Davidson
  • Emiko Morita
  • Fabian David Paz Castro
  • Farhan Boy
  • Felice Sciorilli
  • Felicia Barr
  • Ferran Destemple
  • Francesco Ganassin – Sergio Marchesini
  • Gary Pitt
  • George Gower
  • George Hiraoka Cloke
  • gopinath
  • Grace High
  • Guillaume Piccarreta
  • Helen Copnall
  • Heu
  • Hidenori Suzuki
  • Jakob Rosin
  • Jamie House
  • Janina Castro
  • Jason Richardson
  • Juan Martín González
  • Juan Martín González Molina
  • Julie Woolmore
  • Junya Suzuki
  • Kaori Oda
  • Kathleen Judge
  • Lara Band
  • Lena Achtelik
  • Leonardo andres Manrique
  • Lisa Germany
  • Luca Nasciuti
  • Ludovic Finck
  • Marcelo Carneiro
  • Marg Laing
  • Maria Fernanda Navarro
  • Mariana Carrascal Díaz
  • Martin Franklin/Les Reynolds
  • Mary Hooper
  • Matt Rogalsky
  • Matthew Shenton
  • miduno
  • minami kamada
  • Mira Rizki Kurnia
  • Mitsuhito Ando
  • Namshil Lee
  • Nanami Sudo
  • Natsumi Aoyagi
  • Neil Spencer Bruce
  • Nicola Fumo Frattegiani
  • Nishikawa Yoshihiro
  • Ojasvani Dahiya
  • Paul Stephens-Wood
  • Pawel Gozdziewicz (Canis Arboris)
  • Peter Brooks
  • philippe neau
  • Plazo de mercado marco fidel Suárez
  • Rachel Larsen-Jones
  • Rafael Diogo
  • Raku Nakahara
  • Rebecca Ainsworth
  • Riku
  • Robert Gillespie
  • Rurihiko Hara
  • Ryosuke Kondo
  • Samuel Kudjodzi
  • Shachaf Polakow
  • Shaye Thiel
  • Sirpa Jokinen
  • Sonja van Kerkhoff
  • Stefan Jürke
  • Sylvain Souklaye
  • Taiji Okuda
  • Takayuki Ito
  • Takeshi Azuma
  • Tenali Hrenak
  • THIERRY J.D. BERNARD
  • Timmy Romero
  • Timothée Lambrecqi
  • Tomasz M. Buga
  • Toni Dimitrov
  • Toshihiko Kasai
  • Troy David Ouellette
  • UIRO
  • Xiaoya Zhao
  • Yoichi Watanabe
  • Yuka Hachiya
  • Yuto Miyazono
  • Yuya Ito
  • ZAK
  • and public domain data from Freesound

 

  • Staff
  • Field recordings provided by global sound project Cities and Memory.
  • Map design by Matthew Sequel Lewis
  • Technical Direction/Programming: Takayuki Ito
  • Special Thanks: Guillaume Piccarreta, Tadashi Matsui (Nagano Prefectural Art Museum), Junya Yamamine, Akio Hayashi, Takahisa Abe, Yuya Ito (arsaffix Inc.), Mitsuhito Ando, Reiri Kojima, Gallery 38